「欠陥住宅ではないか」「いつごろ、どこに、いくらくらいのお金がかかるのか」「あと何年くらいもつのか」ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。住宅の購入前や、ご自宅の売り出し前にホームインスペクションを行うことで、建物のコンディションを把握し、安心して取引を行うことができます。居住中のご自宅について調べることもあります。また、不動産仲介業者が物件の状況を消費者に明らかにするために利用するケースも増えています。診断の方法は目視で、屋根、外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を診断するのが基本です。機材を使用する詳細診断もあります。ホームインスペクターは住宅の「かかりつけのお医者さん」です。米国では、州によって異なりますが、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われ、すでに常識となっています。日本でも近年、急速に普及しはじめています。
日本ホームインスペクターズ協会ホームページより
まずは専門家が目視で構造耐力上主要な部分である基礎の、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食の発生の可能性について検査します。
基礎チェック
・幅0.5㎜以上のひび割れはないか
・深さ20㎜以上の欠損はないか
・コンクリートの著しい劣化はないか
・蟻道、蟻害はないか
・鉄筋の露出はないか
・化粧モルタルの浮きや剥離はないか
外壁のひび割れや浮き、屋根材のずれや劣化・欠損の有無を、足場を組まずに実施出来る範囲を目視等により検査します。
外壁チェック
・ひび割れや欠損はないか
・浮きはないか
・隙間やずれはないか
・チョーキングや白華はないか
・シーリング材の破断、欠損はないか
・雨染み跡はないか
屋根チェック
屋根葺き材の欠損・ずれがないか。
シーリング材や防水層の破断・欠損はないか
床、壁など、建物の傾きをレーザーレベルを用いて検査します。計測結果は数値でお伝えし、許容範囲を超えていた場合、リフォームアドバイスをいたします。目視やビー玉での判断は、許容範囲か否かの微妙な計測は行えません。
室内の計測
・柱、壁における6/1000以上の勾配の傾斜はないか(測点の間隔:2m程度)
・床における6/1000以上の勾配の傾斜はないか(測点の間隔:3m程度)
・壁紙のひび割れや剥がれはないか
・雨染み跡はないか
・床のひび割れ、劣化はないか
・床の著しい沈みはないか
小屋裏や床下の構造上問題となるひび割れや欠損等を点検口から目視等により検査します。
床下・小屋裏チェック
・水染み跡はないか
・腐朽、腐食はないか
・金物の緩み等ないか
・蟻道、蟻害はないか
・湿り気はないか(木材の含水率チェック)
室内の建具や、サッシの検査は単に動作確認を行います。また、動作確認だけではなく、長年使えるように調整されているかの検査をします。
キッチンの換気扇や24時間換気などの換気設備の動作確認を行います。また、動作確認だけではなく、異音などがないかなども確認します。複数個所の換気システムにも対応し、全てを検査します。
給水検査では、各箇所の水の出の勢いなどを検査します。また、排水の検査は、漏水がないかを中心に検査をします。
トイレの便器やタンクがしっかり固定されているか、手すりやカウンターなどの固定状況をキッチリ確認します。安全に利用できるかなどを確認します。
室内の計測
・吐水量をチェック
・サッシ・建具の開閉をチェック
・レンジフードの排気量をチェック
・換気扇の動作をチェック
・水周りの動作・排水・異音などをチェック
・給排水設備の固定状況をチェック
・建具・サッシの動作不良はないか
・換気システムの動作不良はないか
・水道配管の漏水はないか
・手すりや器具などのぐらつきはないか
バルコニーでは、防水施工を重点的にチェックします。床面の排水勾配や手すりはしっかりと固定されているか、外壁の状態等も検査します。
バルコニーの勾配・防水チェック
・勾配はきちんととれているか
・排水ドレンのつまり等ないか
・防水層の劣化やひび割れはないか
・手すりのぐらつきはないか
依頼者の意向に応じて点検口より進入可能な範囲の床下状況をチェックします。基礎内部のひび割れや蟻道の有無、腐朽状況など目視等で検査していきます。
床下チェック
・蟻道、蟻害はないか
・腐朽、腐食はないか
・金物の緩み等ないか
・湿り気はないか(木材の含水率チェック)
・断熱材は入っているか
・水染み跡はないか
依頼者の意向に応じて点検口より進入可能な範囲の小屋裏状況をチェックします。雨漏りの確認や構造金物の状態を検査します。屋根裏に潜って検査を行いますので、構造の状態がより広範囲で確認ができます。
小屋裏チェック
・蟻道、蟻害はないか
・腐朽、腐食はないか
・金物の緩み等ないか
・湿り気はないか(木材の含水率チェック)
・断熱材は入っているか
・水染み跡はないか
●公認ホームインスペクター
住宅診断のプロとして、建築・不動産取引・住宅診断方法などにおける一定以上の知識、 また高い倫理観を有することを消費者に明示するために、2009年より資格試験を実施し、その合格者が公認ホームインスペクターとして認められる。実地訓練なども行い、より実践的な知識を有している。
●建築士会インスペクター
山口県建築士会にて実施した「建築士会インスペクター養成講座(国土交通省インスペクションガイドラインに準拠)」を受講し、認定試験に合格した者で、建築士や施工管理技士といった専門的な資格を保持していることが条件。
●既存住宅状況調査技術者
国土交通省のガイドラインに準拠した講習を受けることで、検査の実施に不可欠な検査方法や、サービス提供時の留意事項、関係法令に関する知識等を幅広く身に付けた者。